大阪高等裁判所 昭和24年(を)4003号 判決 1950年1月26日
被告人
和田禎造
主文
本件控訴を棄却する。
理由
弁護人山内敏彦控訴趣意第二点について。
所論の刑事訴訟規則第二十九条第二項は国選弁護人の選任に関する規定であるのみならず記録を調査すると強盜の共謀の点について原審公判廷において被告人は「四人で強盜に行くことを相談し泉と楠木が一緖に裏から中に忍びこみ私と市場は暫く表で見張りをしていたが楠木が私に入れと言うので覆面して中に入つて行くと泉はその家の主人に短刀をつきつけて立つており、私は楠木が取り出した衣類等を荷造して裏口附近にいた市場に渡した」と供述し、原審相被告人市場喜八郞は「四人で強盜に入ることを相談し泉と楠木が中に忍びこみ、少しおくれて和田(被告人)が中に入つて行つたが、私は恐ろしくなり外で待つていると、和田が衣類等を風呂敷包にして四個持つて出て来た」と供述しその間少しも利害相衝突する点が見えないから、原審で被告人と相被告人市場が共に同一弁護士をその弁護人に選任していることを目して所論のように刑事訴訟規則第二十九条第二項に違反するものとは言えない。
(弁護人山内敏彦の拉訴趣意第二点)
(前略)原審の被告人の弁護人は同時に相被告市場の弁護をもしており、右両被告又は互に利害相反する(強盜の共謀の点に於て、各自の供述が相反している)にも拘らず原審裁判官はこの点を無視し、同一弁護人をして右両被告の弁護をさせることを許容しているのは違法である。(規則二十九条二項)(後略)